対象車両:Kawasaki「Super Sherpa」
走行距離:39,493km
備考:中古車。前オーナーの交換は見受けられない事を推測。
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作業にあたり車両よりフォークAssyを取外します。
フォークブーツも外しておきます。
※ 事前にフォークトップボルト(工具サイズ:19mm)を緩めておきます。

まずは汚れの有無を問わず洗浄。機械に接する上での姿勢だと思います。
画像の様に、角材の上へ設置しますと左手で回しながら行え良いです。
※ 直置きは厳禁!
洗浄後、エアブローにて水分を除去。

単独作業における不安定さ解消の為、柱等へボトムケースを固定してます。
※ リリースタイを使用
床面へコンパネを敷いて傷防止。

フォークトップボルト。既に緩めてある状態です。
フォークスプリングのテンションが掛かっておりますので、押えながら外します。
(さほど強いテンションではありませんでした。)
トップボルトを外し、ワッシャー及びフォークスプリングを抜取ります。
※ 外した各パーツはトレー等へ

フォークを逆さまにし、オイル排出。
その後、しつこくストロークさせ更に排出しそのまま一旦放置します。
※ 転倒対策を忘れずに

フォークスプリングです。
こちらも同様に洗浄、そしてエアブロー。

再びフォークへ。
残留オイル及び汚れを排出する為、パーツクリーナーを注入し数回ストロークしてます。
再度逆さまにて放置。
※ 完全に抜けきった状態に近くなりました。
その間に、以下の準備へ。

今回使用のフォークオイル「ABSO RR」。
いわゆる一般的な粘度指数というのが無いそうで、
油面だけのセッティングで済み初心者にも打って付けです。

「500mlのビーカー」にて計量。
注入後、油面にて計測するので多目の400mlとしました。
サービスマニュアルより指定量:分解時 347ml+−4 交換時 295ml

再びフォークです。
リップ部分は腐食しやすい模様なので、錆の除去及びメネジの清掃がベターだと思います。

フォークオイル注入。
極力エアーを入れない様にとにかくゆっくり注ぎ込みます。
※ フォークを傾けて、内壁へ伝わらせるのがベター。

上部より。
エアーが抜けてきているのが見えます。
内部へオイルを行渡らせる為、ゆっくり何度もストロークさせます。
※ オイルが溢れない様に注意
そして落ち着くまで放置。

油面調整器。
ゲージの長さを規定値に合わせます。
サービスマニュアルよりオイルレベル:150mm+−2mm
※ 使用方法は以下にて

フォークを最圧縮状態にし、ゲージのストッパーを上端へ乗せます。(隙間無く)
※ 垂直な柱等へフォークを固定
そして注射器で余分なオイルを抜取り、油面調整完了。

フォークスプリングをゆっくりと挿入します。
※ 純正品の場合、スプリングの上下はありません。
アフターパーツのフォークスプリングへ換装したいところですが
今回は予算の都合上見送りということで。

フォークトップボルト及びワッシャーです。
トップボルトはOリングが入ってますので、取外してコンデションを確認します。
又、ネジ部及びフォーク接触面の清掃もします。
清掃後、Oリングへシリコングリス等を塗布し組付け。
尚、ワッシャーとトップボルト間へスペーサー等を入れる事により
スプリングコンプレッションを増す事が可能になります。
※ 自己責任にて

ワッシャーを入れ、トップボルトを取付けます。
インナーチューブは伸び切り状態でトップボルトを押え付けながら行います。
※ ネジピッチが細かいので注意
一旦仮締めとし、本締めは後で。

組付けは一通り完了です。
もう一本も同様に。
尚、オイル使用量は左右合わせて約700ml。
サービスマニュアル記載の分解時と同様な結果となりました。
古いオイルが殆ど排出出来た事が伺えます。

躍動面の保護及び潤滑にシール部分へ「フッ素系オイル」を塗布。
馴染ませる為、数回ストロークさせます。
その後、フォークブーツを挿入。(固定バンドは締めずに)

車体へ取付け。
まだ仮止め状態です。
※ 落下を想定し、床面コンパネ敷き
そしてホイールを取付けます。(アクスルシャフトは仮止め)
※ キャリパー及びフェンダーはまだ取付けません。

フォーク突出し量を合わせます。
サービスマニュアル参照:トップブリッジ上面とインナーチューブ上端を面一
フォーククランプボルト(工具サイズ:12mm)を本締め。
規定トルク:21Nm(2.1kgf・m)
フォークトップボルト(工具サイズ:19mm)を本締め。
規定トルク:22Nm(2.2kgf・m)
ステムナット(工具サイズ:30mm)を本締め。
規定トルク:49Nm(5.0kgf・m)

ホイール取付け。
アクスルクランプナット及びアクスルシャフトはまだ仮締めです。
アンダーブラケットのフォーククランプボルトを本締め。(トップブリッジ側と同様)
アクスルシャフト(工具サイズ:17mm)を本締め。
規定トルク:88Nm(9.0kgf・m)
アクスルクランプナット(工具サイズ:10mm)を本締め。
規定トルク:9.3Nm(0.95kgf・m)
フォークブーツ規定位置でバンド締付け。
そしてフェンダー及びキャリパーを取付け、最後にブレーキの効きを確認して完了です。
「締付け順序」のあるボルトについて以下にまとめました。
トップブリッジ・フォーククランプボルト
21Nm(2.1kgf・m)
↓
ステムナット
49Nm(5.0kgf・m)
↓
アンダーブラケット・フォーククランプボルト
21Nm(2.1kgf・m)
↓
アクスルシャフト
88Nm(9.0kgf・m)
↓
アクスルクランプナット
9.3Nm(0.95kgf・m)
※ 規定トルクは厳守
初期の沈み込みが気になったので追加作業として
スプリングコンプレッションを増す試みを行ってみました。
様はトップボルトとワッシャーの間へスペーサー等を入れれば良いのですが
わざわざ買いに行くのも何なので・・・。

ストックを探したらありました。
アルミ板材 5mm(厚)×30mm(幅)×300mm(長) ¥75
ワッシャーのサイズはΦ29mm。
丁度良い材料です。
これを用いて製作してみます。

このキャップの径が約28.5mmなので、これを使用しマーキング。

そして切出し。

大雑把に整形。
左右なので2枚必要です。

仕上げはペーパーにて手作業で。
完成です。
フォークスプリング>ワッシャー>スペーサー>トップボルト
上記の順番で組んでます。
以下、簡単にですがインプレッションです。
たった5mmのコンプレッション増加でしたが違いは歴然、初期の沈み込みは押えられました。
又、リフレッシュされたフォークオイルにより動きは良く
且つ良く踏ん張ってくれるサスとなりました。
特筆すべきは高速走行とそして特にダート走行です。
“吸収力を感じる”と言えるでしょうか。
振動が減り安定したハンドリングになりました。
更に油面にてセッティングを詰めてゆけば、よりベターな状態になると思います。
今回初めてフォークを触りましたが、良好な結果が得られ満足です。
※ 「円陣屋至高」 http://www.enjinyashikou.com/