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飼育・繁殖(概要)
第2次 2000/12/20一部修正

〜はじめに〜
 最初にお願いしておくが、ここでオオクワ類と記述しているものはクワガタのうちのドルクス属を指している。すなわちオオクワガタとヒラタクワガタを指しているのである。
 よって、以後オオクワ類との記述は特別な記述がない限りこのように読み替えてご理解いただききたい。
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 クワガタは寿命の永いオオクワ類でも1〜3年程度の短命な生物である。よって、私は自家繁殖させながら累代飼育を楽しむペットであると思っている。
 また、基本的な繁殖技術がほぼ確立され、累代飼育を行うことが決して難しくないものになりつつある。とはいっても、全ての種の繁殖方法が公開されているわけではないし、飼育材の性質や使用方法などのほか個人個人の思考によっても管理方法が違う等、意外な難しさがある。
 また、人によってはハイリスク・ハイリターン(死亡や羽化不全率が高くても大きな虫がとれればいい)と言う方もいる。はっきり申し上げてこのての考えは論外である。死亡や羽化不全率が高い中途半端な製品(又はその程度の飼育技術)ではハイリターン(きれいで大きな虫)を得られる訳がない。
 少なくても、死亡させずに標準以上の成虫をたくさん得ることができるようにならなければ大型個体を望むべくもない。これだけは断言していいだろう。
 私のクワガタの飼育方法は、現在ある飼育材を使用して「より大きく、きれいな虫を繁殖させること、少なくても標準以上のサイズの成虫を安定して繁殖させること」である。
 もっと詳しく説明するならば、金で買える飼育材を効率よく使い、より楽に産卵・孵化させ、生存率を高め、羽化不全やディンプルのないきれいで大きな虫を得ることである。
 私はこのページと関連するページを開始するに当たり、私が飼育・繁殖させた全ての種について解説するつもりもない。ここでは、外国産を含んむオオクワ類の繁殖・育成について奥の深い公開をしていくつもりなのでご承知願いたい。
 最後に餌(昆虫ゼリー)をはじめ、菌糸など具体的なメーカーについては、直接的あるいは間接的に記述しているものもあるが、これらは全て実際に私が使用した結果を素直に表現しているものであって、生産者等に対して悪意や好意を持っているものではなく、また、営業妨害するつもりも全くない。
 結果的に悪いイメージで表記した商品等についても、私が評価した以後改良されている可能性や私が使用上の手違いをした可能性がなくもない。これらのことも併せてご理解頂きたい。
 また、私の評価に対して、間違っているなどご遠慮なくご指摘頂きたいし、再利用又は再評価のご依頼についても、許す限り実行する用意があるので、遠慮なくご連絡頂きたい。

 オオクワ類はクワガタとしては長命なので、長く飼育することができる。もし、繁殖に失敗したとしても、きちんと飼育すれば再度のチャンスを待つことも可能だ。
 ノコギリ系など成虫になってから数ヶ月の短命種の場合は、♂♀の羽化時期が大きくずれた場合は繁殖できないが、オオクワ系はもしそうなったとしても問題なく繁殖させることができるのだ。そういう意味においてもオオクワガタ(ヒラタ含む)は人気が高く、定番化したペットの地位を確保したものと思う。
 また、クワガタは上手に繁殖させると”ねずみ算的に殖やすことができる”繁殖の楽しいペットでもある。
 このページをご覧になった方が、きれいで大きなオオクワ類を繁殖させるられるように願うものである。
 
1.種親入手方法の検討
 最近はネット上で安いものがたくさん販売されているので、入手に困ることは少ない。しかし、入手に当たっては、同種の♂2匹♀3〜4匹程度を最初に揃えたい。そして理想を言えば、全ての個体が別血統であるならば最良である。
 悪くとも、累代の浅いもの又は血の入替えをしてあるものを2系統(血統)以上入手したいところだ。
 1ペアーあれば十分だとの考えもあるだろうが、この場合だと片方が★になってしまったらそれで終わりになってしまう。♂が★になった場合は新たに1ペアー購入して♀2頭で産卵を狙えば良い。
 しかし、逆に♀が★になった場合は悲惨につきる、♀だけを販売する方は極めて少ない。1ペアー購入してもただ♂が1頭余るだけになってしまう。
 見るだけなら♂がいいが、繁殖を楽しむペットであるクワガタの場合は♀の方が大事なのである。その他の理由は次ぎの”累代の問題点”を参照願いたい。
 どちらにしても、最初に入手するには幼虫がいいか、成虫がいいかは迷うところだ。どちらも、一長一短がありなんとも言えないが、長所並びに注意したいことを次ぎに記載するので検討願いたい。
 @成虫を入手した場合
 金額的にはやや高くなるが、♂♀を確実に入手でき、またサイズも選べる。初齢幼虫を購入し、羽化するまで菌糸飼育したと思えば、さほど高くないとは思う。
 たとえ、新成虫を入手したとしても幼虫よりははるかに短期間のうちに繁殖を狙えるし、運良く越冬個体(全てのオオクワ系ではないが)を入手できれば、すぐに繁殖を狙える強みもある。
 A幼虫を入手した場合
 幼虫を入手する最大の利点は、その種の幼虫飼育過程を実践的に学べることに尽きる。また、一時的購入費用では成虫1ペアーの金額で10匹以上購入できる可能性がある。
 短所としては、♂♀が理想とおりの割合でとれるかは分からないし、羽化不全や飼育の失敗で全てをダメにする可能性もある。また、”菌糸ビン”や発酵マットの購入・選択や作成についても検討・調査しておく必要もある。
 結果として、初心者の方には成虫を、菌糸や発酵マットの知識がある方には幼虫を勧めたいと思う?

2.累代の問題点
 
ここで、近親交配の問題点を探ってみたい。
 有性生殖をする生物の場合は、単一の親から累代をしていくと、何代目かには必ず何らかの弊害が出てくる。
 私は熱帯魚(グッピー)では、他の血を入れずに10代以上維持した実験経験がある。結果として、その間には相当の奇形などの弊害が現れた。3代から5代で顕著な弊害がたくさんの仔に現れる。それでも、奇形の仔の中に優秀な仔がほんの少しいる。それをスクープしながら、累代を繰り返していくと7代目くらいから少し安定してきた。10代目には巨大なものが発生したりもした。しかし、今度は♀の発生率の激減と不妊現象が現れてしまった。結果として、この実験は私の入院から13代で終ってしまった。
 1年サイクル生物である昆虫は、理論的に累代に強いとは思うが、それでも長期的見地からみれば弊害が現れるのは確実だと思う。
 我が温室には累代5代目を迎えるシッキム・クルビデンスがいるが、どうやら不妊現象が現れたようだ。確証はないが、現在のところとれた仔は5匹しかいない。
 親は当初♂3、♀3であったが、♂のうち1匹は奇形、1匹は交配しないうちに★、現在♂1匹で3匹の♀に交配しているが、どうやら血の入れ替えをせざるを得ない状態になっているが、辛抱して累代繁殖を続ける予定だ。
 私がここで申し上げたいのは、もし累代実験をする気がないのであれば、最初から2血統以上を飼育したほうが、1血統よりははるかに永く楽しめるし、たくさんの仔がとれる可能性がある。
 やはり、クワガタでも累代の弊害は3代目頃から出始め、5〜7代目頃で顕著になると考えられる。弊害の内容は、@奇形、A虚弱化、B萎小化(巨大化)、C不妊、D雌雄の偏りなどである。
 この件については、今後もできる限り同血統のみの累代を繰り返し、実験を続けこのページで公開していくつもりなので、ご期待ねがいたい。

3.成虫の餌
 
一番簡単で楽な”昆虫ゼリー”を与えるのが最も一般的。しかし、そのゼリーの品質は重要である。
 私はことオオクワガタに関してはは完全植物食ではないとみている。つまり、植物食であると同時に動物食でもあると思っているのだ。 実際に肉やカブト虫の蛹を与えてみれば、すぐに理解できると思う。特に、越冬個体で産卵を間近にした♀にこの傾向が強い。
 よって、たんぱく質入りのゼリーを与える必要があるのだ。この種のゼリーでは奈良オオやミタニ製を使用したが、リンク集にある「クワガタ情報交換」購買部で販売しているアルファー・ゼリーの食いが最も良かったので、試してみる価値はある。
 その他に補完的な目的で樹液ゼリーも使用している。このゼリーでは前述の2メーカー、サムライなども使用しているが、大きな食いの違いは確認できていない。

4.飼育ケースの選択
 繁殖待ちの個体など繁殖時以外は1匹つづにして飼育する必要がある。その容器にプラケース(小型)を使用している方が多いと思うし、私も近年まで使用していた。
 しかし、このケースは逃げられやすかったり、♂の大あごが網部分に挟まって折れたりする事故が多い。
 そこで、私は成虫飼育にこれを使用することをやめ、2リットル中心のブロー容器に全て切り替えた。
 この容器は落としても破損することがなく、スクリューキャップとなってるので、逃げられる心配はない。重ね置きもでき、省スペースにもなる。
 欠点としては放熱性と水分蒸発が少な過ぎる問題がある。具体的に使用するに当たっては蓋などに比較的大きな穴を空けたり、マットへの加水を少なくする必要がある。
 取り扱っているところは少なく、私は奈良オオクワでケース(6個)単位で注文購入している。

5.繁殖(産卵)ケースのセット
 繁殖ケースのサイズは投入する産卵木の数などの他個人の飼育能力や感覚で決まってくる。私は限られたスペースでより多くの種親を飼育するため、繁殖ケースは中プラケースを使用している。常識的には大以上のケースを使用すべきだと思うが、これでも何とかなっている。
 しかし、できる限り特大プラケースなど大型ケースを使用し、ゆったりしたスペースを確保してやろう。こうすれば、産卵木もたくさん入れられ、結果として虫に合う産卵木を見つけられる可能性も飛躍的に向上する。
 続いて、埋め込みマットの選択であるが、これについては色々な考えがあるようだが、私はクヌギやコナラの発酵マット(添加剤なしのもの)を使用している。
 飼育する種や個体によってはマットへのバラ産みするものもあり、またたくさん産卵した場合に産卵木からはみ出した幼虫を発酵マットが育成してくれる。
 この件では、彼の有名な虫研の吉田氏は「埋め込みマットには”針葉樹”の発酵マットを使用する」とその著書で書かれている。氏は国産オオクワを対象にしているようだが、結論的に産卵木(材飼育の場合も)から幼虫がはみ出すことがいけないと言っている。
 しかし、私は産卵木からはみ出した幼虫は、広葉樹(クヌギ、コナラなど)の発酵マットで一時的に育成してやればよいと考えている。その後に、菌糸マットなど飼育材で育成してもいいのではないかと思っている。
 産卵木については別ページで解説する予定であり、ここでは省略する。

6.交配方法と同居のタイミング
 何も考えずに、ただ単に成虫の♂♀を繁殖ケースに入れても、運がよければ繁殖する可能性もある。しかし、羽化後どの程度経過したら交配できるのか、などなどの繁殖要件を知ってタイミングよく交配すれば、効率がよくなり、”挟み殺し”などの事故も少なくて済む。
 一般的に、オオクワガタやヒラタが成熟し繁殖に使用できる状態になるには、羽化後3〜4ヶ月程度かかる。なるべく6ヶ月以上経ったものを使用したい。
 また、♀を1週間程度先に繁殖ケースに入れ、十分ケースにならすと同時に、樹皮などの転倒事故対策を兼ねたシェルターも入れておく。
 こうすると、繁殖ケースに♀の臭い(フェロモン)がばら撒かれるらしく、♂(♀)の噛み殺し事故も少なくなる。

7.同居期間
 繁殖ケースに入れたペアーを終生同居させるという方も多い。しかし、私は狭いケースで少ない産卵木しか入れられないことなどから、2週間程度の同居をさせている。その後は、♂を取り除き、他の♀と交配させるものは1週間程度休養させ同じように♀を入れた繁殖ケースに入れる。
 理由は他にもある。成熟した♂は常に交尾ができる状態を維持しなければならない。生物学的に♂を選ぶ権利は常に♀にあり、♂は受け入れてくれる♀さえいれば、必ず交尾行為をするようにできている。よって、3日同居させて交尾しないものは♂♀のどちらかが交配のタイミングにないものと思ってよい。
 また、育仔をしない彼らでは、交尾が終わった♀にとって♂は交尾をしたがる邪魔者でしかない。
 よって、交尾が完了していれば早めに♂を取り除き♀には産卵に専念させたほうがよく、また♂がいない分だけ産卵場所の選択も自由になるだろうと思う。

8.幼虫の共食い
 既に述べた通り、私の繁殖ケースは小さいため、産卵木は1ないし2本しか入れられない。そのため、産卵木の選択を厳しくすると同時に♀がたくさん産卵する前に産卵木を入れかえる必要がある。
 1本の産卵木に多くの幼虫が産卵するとなぜいけないのだろうか?
 結論から申し上げると、彼らは自分の食う朽木が少なくなると共食いをはじめる。もし、たくさんの幼虫が1本の産卵木に発生したら、その結果はみえている。
 このことから考えても、彼らが動物食であることが理解できる。皆さんもたくさん幼虫がとれたら実験してみるといい。これが事実であることがわかる。
 今後、この共食い=動物食を考慮した幼虫の餌が開発されるかもしれない。私としては、とりあえず、カブト虫の幼虫や蛹或いはミミズなどを活用し、大きな成虫をとるための研究をしてみたいと思う。

9.産卵確認、産卵木の取出し・保管期間 
 1本の産卵木に幼虫がたくさん発生すればするほど、また成長すればするほど共食いがおこりやすくなる。
 そこで、産卵確認→産卵木取出し(交換)→保管→産卵木割り出し→幼虫の育成(1匹づつ菌糸ビン、発酵マット、朽木材などの技法で飼育)という各ステッブを実行させる必要がある。
@産卵確認
 幼虫が産卵木ではなくマットに出でくれば♀が産卵したことは嫌でも分かが、通常はこのようなことはないと思ったほうがいい。
 いったいどう確認するか?普通、産卵前の♀は餌をたくさん食うが、産卵間近かもしくは産卵中には餌食いが極端に低下する。
 こうなった時点から2〜3週間後に産卵木をそっと取出し、”齧り”と”埋め戻し”を確認するのである。もし、そうなっていたら、その産卵木を取出し別のケースに保管する。空いた繁殖ケースに新しい産卵木を投入し、通常とおり発酵マットで埋めて、同じように管理するが、次ぎの産卵のタイミングは初回のようなわけにはいかない。初回にたくさん産卵していると2回目の産卵木に産み付けなかったり、少なかったりする。
 逆の場合はたくさん産んでしまう場合もある。平均的に1月程度で取出し、先の記載した方法で産卵を確認するようにする。
A保管方法及び期間
 産卵ケースから取出し、保管ケースに移動した産卵木も発酵マットで埋め込みすることになる。私はこの埋め込みするマットは、原則的に産卵ケースから取出すことはない。理由は、産卵木交換でストレスを受けた♀親にそれ以上の刺激を与えないことの他、発酵マットに産卵された可能性を考慮してのことである。
 保存期間については、最後に産卵したものを基準にして割り出し時期を検討する。卵や孵化したての幼虫は管理しにくく、移動後の生存率が低くなる。逆に成長し過ぎると共食いが起こる。最も良いサイズは初齢後期から2齢初期ということになる。
 このサイズを得るには、今までの経験から保管後30〜45日程度で割り出したものがちょうど良いサイズになっていることが多い。

10.噛み殺し事故の回避
 ここで、噛み殺しについて再度考察してみることとする。
 ♂が♀を噛み殺すものには、外国産オオヒラタ系、シェンクリング、グランディス、アンタエウスなどである。
 逆に、国産オオクワガタは♀が♂を噛み殺したり、足を切断したりすることを確認している。多分、その他のクルビデンス系は国産と同じ部類ではないかと思う。
 それでは、いったいどんな状況で噛み殺し事故が起こるのだろうか?
 ♂♀の両方又は一方が繁殖状態になっていない場合に起こることは、既に記載した通りであるが、♀が♂に危害を加えるものについては、上記原因のほかに、動物性たんぱく質の不足・欠如も考えられる。
 つまり、充分な成熟期間とバランスの良い給餌が繁殖をするための基本である。繁殖・産卵を急がず、ゆっくりと落ち着いて育成し交配をさせればいいのだ。オオクワ系ドルクス属は寿命が永いので、慌てずにじっくり交配することができる。

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