HOME


プレコ一覧

楽しい舌戦

私的鑑賞

分類と同定

飼育解説

繁殖データ

プレコの繁殖データ公開

〜はじめに〜
 最初にお断りしておくが、本稿では初心者の方は対象としていないので、PH及びろ過をマスターし、理論的に理解できるようになってから、ご覧頂きたい。
 PH及びろ過の理論と応用は、魚を飼う上での基本中の基本であり、現実的に機能させられる方ではないとこの繁殖の理論や説明(ヒント)が理解できないのである。
 よって、繁殖を実践するためには、ろ過が完全に機能していることが最低の条件であり、できればろ過とPHの関係を理解し、飼育水管理ができる方が望ましい。
 しょっちゅう再立ち上げしなければならないような状態の水槽では、繁殖どころではないことも併せてご理解頂きたい。
-----------------------------------------
 飼育スペースの限られたアマチュアの飼育スタイルは「気に入った一尾の個体を可能な限り永く飼う」ことだと思うが、いつのまにか「コレクション型」や1歩進んで繁殖を狙いたくなるものだ。
 私が現在の温室で本格的にプレコを飼育し始めたのは1995年からであるが、通算の飼育年数は長女と同じ年数、つまり17年になる。
 飼育しているプレコは約14属、50種程度。自家繁殖を除いた個体数で120尾位だと思う。これらは、標準45cm水槽3本、150L型60cm水槽6本、80L型60cm水槽5本、標準90cm水槽2本に収容しているが、水槽数に比べ個体数が多過ぎるのが気にかかる。
 この中には1〜2尾だけを飼育するコレクション型の種と併せ、将来繁殖を狙って育成している個体数の多い種もいる。
 1997年に養殖個体(以下CBと記載)のアルビノ・ブッシーマウスの水槽内繁殖に始めて成功し、現在ではG3まで累代が進み、私個人の繁殖技術の向上以上に個体自体の繁殖しやい形質が確立されたものと自負している。
 このブッシーマウスの繁殖データーや経験は今後の天然個体の繁殖への強力な足掛かりになるものであるが、現在のところ飼育スペースなどの関係から他の種においては実質的な繁殖への取り組みができないことは残念。
 ところで、このページをご覧になった方の中には、私がブッシーマウスの繁殖に成功したのは「偶然の出来事」と思う方もいるだろうが、私自身は「この種なら繁殖できる」として繁殖目的で複数の幼魚を入手・育成したものである。
 その理由は
@ブリーディング個体であること。
A小型種であること。
B雌雄の判別が容易であること。
C広範囲に生息する種である(水質等の適応力がある)こと。
以上の4点は繁殖させやすい種(個体)の要件として、私の繁殖の基本になるものである。

繁殖までの観察概要

 1996年に5尾購入したアルビノ・ブッシーマウスの幼魚を45cm水槽で飼育・育成した結果、3尾が順調に成長し10ヶ月後には1♂2♀の成魚になった。
 3尾は常に別々のシェルターを占有していたが、ある日突然♀の1尾が♂のシェルターである破損した植木鉢に♂といっしょにいることを確認した。
 私はもう1尾の♀を他水槽に排除し、ペアーと思われるものだけにした。その結果、第1回目の産卵から幼魚をとることに成功したのである。その後、♀は2回目の産卵をすることなくで死亡した。
 そこで、もう1尾の♀を♂と同居させた。この♀も♂と新しいペアーを組み1回の産卵・繁殖に成功したが、こちらの♀もその後産卵することなく死亡した。
 このため、当初はこの種の♀は産卵すると死亡するのではないかと推測したが、その後の累代繁殖で同じ♀が何回も産卵することを確認していることから、これらの♀が産卵・繁殖後に死亡したのは、ただの偶然が重なったものと結論付けている。
 また、このブッシーマウスは両親ともにアルビノであるにも関わらず、その子らは全て普通種になるという特徴から、アルビノ遺伝子の研究にも大きな貢献をもたらしたことも見逃せない。
 しかし、本稿では「繁殖」がテーマであり、遺伝的な問題は取り上げないこととするが、今後いつかこの個体に隠された(ブリーダーが秘密とした)アルビノ遺伝子の解析についても追加公開できる日もあろうかと思う。
 尚、この♂は2000年の5月現在なお、自分の娘にあたる♀と繁殖を続け、我がブッシーマウス・プレコ軍団のルーツとして君臨中である。
 問題の繁殖結果は次ぎの通りであるが、これは私が累代繁殖を行っているブッシーマウスについてのデーターであり、ワイルド系やその他の種については、この成果を基本にアレンジしながら新たな方向を見つける必要があろう。
 何はともあれ、本公開が繁殖を目指す方々の一助になれば幸いである。

飼育方法及び産卵から育仔観察結果

A.飼育設備、環境等
@水槽:45センチ標準水槽
Aろ過:ブリラント・ダブルのみ
B水草:基本的には必要ない。
C砂利:”大磯砂”を底面が見えない程度に薄く敷く。
Dシェルター:流木や植木鉢の割れたものなど個体数以上を設置するが、各個体の存在が確認しやすいような配置とすることが望ましい。

B.飼育管理
@水温:28〜22度(繁殖要件参照)
A水換頻度:月2〜週3回(繁殖要件参照)
B照明:タイマー管理(間接太陽光有り)
      夏期(2〜3ヶ月)=15:00点灯、18:00消灯
      それ以外の季節=08:00点灯、18:00消灯
B餌:成魚=日1回(夜)、幼魚・稚魚=日2回(朝晩)
光クレストのプレコフード主体、その他は沈下性ランチュー・フード、ディスカスフード。

C.繁殖形態
@強い水流は必要としていない。
A1ペアーで繁殖する(集団又は複数雌雄の繁殖形態ではない)。
B流木や植木鉢の割れたものなど隙間(裏)に産卵する。
C♂のテリトリーに♀が来て産卵、産卵後は♂だけが卵と孵化した稚魚の面倒をみる。
D産卵床から落下した卵も孵化するが、親(♂♀かは不明)が食う場合があるらしい。
E幼魚が泳ぎ出しを完了すると♀は産卵床に入り再度産卵する場合がある。

D.繁殖要件のヒント
@水替えをした直後に産卵しやすい。
A水温が下がった時に産卵しやすい。
B繁殖可能な成熟期間は孵化後1年程度。

E.成長過程
@卵は産卵後5日程度で孵化する。
A稚魚は5〜7日程度は産卵床に留まり♂親の保護を受ける。
B産卵床から落下した卵から孵化した稚魚は♂親の保護は受けられず、卵のうを付けたまま泳ぎ出し、その後消えてしまう(食われる?)ことが多い。落下した卵から孵化した稚魚が多いと全部の稚魚が消えてしまうことがある。
C正常に泳ぎ出した稚魚はおおよそ3日後には餌を食うことができる。
D正常に泳ぎ出した稚魚は消える(食われる?)ことがない。

〜総合解説〜
☆上記の水槽とろ過設備で能力的な問題はない。底面式ろ過は禁じ手。
☆プレコなど底ものの飼育では、底砂(石)を薄く敷くことが基本。
★底砂の大磯は飼育水に変化を与えにくい。
☆底砂なしの場合は親魚が落ち着かない。また、産卵床から落下した卵が落下場所から転がりやすくなってしまう。
☆飼育下の繁殖で得た個体は繁殖しやすい。
☆この種はプレコとしては比較的広範囲の水質や水温に適合できそう。
★水換えを控えPH6程度として、頃合いをみて水換えを連続的に数回行いHP7.5に上昇させる。
★水換え前の水温は27度程度を維持。最終的に水換え後は23〜24度程度にする。
 夏の高温期には繁殖せず、水温が低下した時期に繁殖するので、気温が低下する秋や冬にこの水温管理をする方法がいいだろう。
 但し、水換えで水温を低下させず、ヒーター設定で低下させる。急激な水温変化は「白点病」などの原因になる。
 他の魚種と同じくプレコも基本的に”雨季”に繁殖する。水槽内(飼育下)といえども自然の摂理は重要。
 PHと水温を変化させる方法は、乾季と雨季を水槽内で実現させる裏技。
★ワイルドの繁殖でも♂♀を判別することは重要。
 ♂と♀の2尾だけで飼育を続ければ繁殖の可能性は格段に高まる。なぜならば彼らは1ペアーだけで繁殖し、テリトリー意識の強い魚だからだ。
 雌雄の判別ができなければ、繁殖機会が減少ことを承知した上で、同一種(思われるものを含む)の複数を同一水槽に収容し、仲良くなった(2尾で寄り添うように同一シェルターにいる)個体をスクープできるチャンスを待つしかないだろう。しかし、個体数をできる限り少なくすることが決定的なチャンスを逃さない切り札だ。
★♂は産卵後の♀を産卵床から排除するため複数シェルターの設置は不可欠。
☆孵化後2〜4週間すると免疫がなくなるのか病気にかかりやすくなるため、親を分離し、水温を徐々に上げ26〜27度程度にする。
☆親との分離は親を別水槽に移動する。この際、同じ水槽をもうひとつ用意しておき、他の魚を入れておき、ろ過機能を維持しておく。また、繁殖に使用したシェルターも併せて移動させ、幼魚には別のこけ付流木等のシェルターを与える。

天然個体の繁殖考察と応用

ここでは、以上の繁殖データーをもとに天然個体(以下、WBと記載)に絞って、繁殖させるための考察をしてみたい。

A 天然個体からみた繁殖個体との相違。
@成熟に時間がかかる。
A飼育水槽や水質などの環境になれるための時間が必要。
B♂と♀の同定が確立していないものが多い。例えば色彩によって別種となっているものがいるかもしれない。
Cその他に食性などの問題もあるだろうが、基本的に植物性の餌を中心にディスカスフードなどの動物性たんぱく質などさまざまな人口飼料を与えてみることだが、アカ虫やイトメなど天然飼料は病気や寄生虫などの問題もある。もし与えるのであれば冷凍のものにした方が安全だと思う。

B 生息環境
 プレコを育むアマゾン川は基本的に落差の少ないなだらかな河川だという。もちろん、急流がないわけではないが少ないという。
 急流域に生息する種は基本的にホワイトスポットや白黒ストライプなどの小型系人気種が多く、逆に留水域では鈍い色調の種が多いようだ。
 しかし、私たちが知ることのできる生息地の状態は、人が捕獲しやすい”乾季”のことだ。一旦雨季になればこの急流域も水没し、海状態になることが予想される。
 基本的に雨季と乾季のある河川水域に住む魚は、水量が増大し絶対的水域が広くなる”安全な雨季”に繁殖するのが当然の選択だ。プレコも雨季に繁殖しているだろうと推測することに無理はない。
 もっとも、違う意味で”安全な乾季”に繁殖する単年(サイクル・フィッシュ)性の卵生メダカもいる。これらは、他の魚が生存できない”水がなくなる”閉鎖水域に住み、水がなくなる乾季に産卵して種を守るという特殊性のある魚種だ。それらの魚は環境がそこに生息する種を選択するという自然界の原理を極めた魚種でもある。
 しかし、プレコはサイクル・フィッシュではない。よって、前者の”安全”な雨季に繁殖していることは確実であると推測できる。
 
C 雨季と乾季の環境変化
 ここでは、雨季と乾季がアマゾン川にどのような変化をもたらすのであろうかを考察したい。
 まず、考えられることはPHの変化と水温の変化である。基本的にアマゾン川周辺は熱帯雨林であり、砂漠地帯ではない。よって、水のある周辺は草などの有機物の堆積した層を持っている場所が多いと思われる。結果として、これらの有機物から発生する腐敗酸の影響で雨の降らない乾季には酸性化した水質になっていることが予測できる。また、水温が高いことも予測できる。
 一方、雨季になると降り続く雨と土砂などの流入により、乾季に酸性化した水が中和され、それと同時に雨と日照時間の低下により水温も低下するであろう。
 私が繁殖の基本のひとつとしているPHと水温の変化をさせることは、この考え方に起因しているのである。
 次ぎに、プレコの食性と生物層から見た雨季に繁殖するプレコの状態について探ってみることとする。

以下は後日、下記の内容についてにUPする予定なので、ご期待を!中途半端でごめんなさい。 

 プレコが実際に繁殖している状況を推測してみる。
 彼らが実際に繁殖しているところはどんなところであろうか。
 比較的繁殖しやすいのは小型種であろう。
 この内インペリアルゼブラ(ヒパンキストルス・ゼブラ)は人気種であり入荷量も多いので繁殖しやすいと思うだろうが、この種は「生息域が局地的である」ことから水質や水温などの管理はもっと厳しくする必要があろう。
繁殖後の処理問題

全てのペットの繁殖にいえることだが、繁殖で得た仔魚たちは、天敵がいない水槽内飼育では驚くほど増えてしまう。
よって、グッピーや金魚と同じように選別と淘汰をしなければならないことを覚悟しておく必要がある。
個人的には、鑑賞魚は処分することに抵抗感の少ない生物だと思っているが、それでも処分の仕方は気になる。
私は素人として”流通に乗せることを望んでいない”ので、間引きしてピラニアの餌にしている。
こういう処理方法を不快に思われる方も多いと思うが、いずれにしても鑑賞魚を繁殖させたら処分は切実な問題となることを覚悟しておこう。繁殖で得た全ての個体を飼育することは不可能なことであるから--。

プレコ一覧

楽しい舌戦

私的鑑賞

分類と同定

飼育解説

繁殖データ