No.39
坂本秀樹(28)
2000.8.5 掲載
『健常者と障碍者のベストな関係』

 はじめて参加したエブリワン
夏の宿泊キャンプ(東京都若洲海浜公園)

  私が、市原 ウィズ エブリワンに出逢ったのは、8年前の夏でした。当時私は千葉市にある更生援護施設に入所していました。友人からキャンプがあると聞き、どんな活動をしてるのか興味を持ち、たくさんの人と出逢えるチャンスだとも思い参加しました。
 そのころ私は身の回りのことが一人で出来なくて、初めて会う人たちにうまく頼めるかという心配もありましたが、皆さんとても親切でそんな心配もすぐに消えてしまいました。そして入会することになった訳ですが、言語障碍(しょうがい)のある私は相手にわかるようにゆっくりと話しをして友達を増やす努力をしました。しかし、理解してもらえないこともありました。
 私は生まれつきの脳性麻痺という障碍があり、小学校から養護学校、卒業後は更生施設と、ずっと障碍者の中で過ごして来ました。そのため、友達は私と同じように障碍を持った人たちばかりでした。外に出ると健常者の目が気になり、健常者への偏見もありました。私と同じ境遇の人たちと接している方が、気を使わないで良い、その方が楽しいと言う理由から、自分から健常者の中に入って行こうとはしませんでした。
 そんな気持ちを持ちながら、20歳を過ぎたある日、更生施設の職員と雑談をしていたときに、そんな自分の気持ちを話しました。すると同感してもらえるとばかり思っていたのですが「お前は障碍者である前に一人の人間なんだよ。ただ身体が不自由なだけで、みんなと一緒なんだよ」と言われました。はじめは思いも寄らぬ言葉に戸惑いましたが、あとで自分なりに考えてみると、その言葉の意味がどういうものかわかった気がします。
 障碍者の中には、「自分は健常者とは違う」とか、「自分は身体が不自由だから、やってもらって当然」など、自分の都合の良いように考えている人も少なくないと思います。また、健常者のなかには「障碍者に逢ったら何でもしてあげないと」と考える人もいると思います。しかし、私はその施設職員の言葉を思い出すと、やっぱり障碍者と健常者の関係は、お互いがお互いをサポートしあうことで成り立って行くものだと思います。出来ることは自分でやり、出来ないところをカバーしてもらう。そして自分の出来ることで相手をサポートすることで信頼が深まり、良い関係が続くのではないかと思います。
 これからもエブリワンの活動に参加し、たくさんの人と出逢い、友達の輪を広げていきたいと思います。

No.38
渡辺亜紀子 (27)
2000.7.1 掲載
『何事も前向きに考えて』

 私が市原ウィズエブリワンを知ったのは、昨年の9月でした。高校時代からの友達をはじめ友人はいましたが、もっと「友達が欲しい」と思っていました。何かサークルに参加してみたいとも思っていた時、市原ウィズエブリワンの"ボランティアではなく仲間作りの交流会"というメンバー募集が目に付いたのでした。どんなサークルなのかと、連絡を取って参加してみました。
  現在、私は会社で事務の仕事をしています。今まで特にボランティアをしていたわけでもなく、障碍を持っている人と直接話をした事があるわけでもありませんでした。初めは、何をどういうふうにしてよいのか分からず、ただ他の人がしている事を見ているだけでした。
 最初に参加した活動はハンディーキャップ体験。五井駅からイトーヨーカドー周辺を車椅子に乗り、障碍者の立場になって歩道を調査したり、皆と一緒に食事をしたり、とても楽しく良い体験が出来ました。2回目は、皆で両国の博物館へ行きました。電車での移動だったので少し大変でしたが、とても楽しかった思い出です。そして暮れには、忘年会、明けて新年会。そうしている間に障碍者と健常者ではなく、友達として仲良くなっていきました。
 最初「これは、ボランティアではないのかな?」という疑問もありました。でも、もし自分の友達が事故に遭って障碍者になったとしたらどうでしょう。障碍者と健常者、ボランティアという立場で付き合っていくかとしたら、そうではないはずだと思います。相手が障碍者になったとしてもずっと友達は友達です。
  障碍を持っている人たちは、物事に対してとても前向きな考えを持っています。以前テレビ番組で足のない女性のドキュメント番組がありました。その人は結婚もして子供もいました。私たちと何ら変わりのない生活をし、家では普通の主婦と母親をしていました。障碍を持っていながらも強くとてもたくましく生きていることに私は感動しました。
 それは、エブリワンの人達も同じです。障碍を障碍と思わせないくらいの強さがあります。  今まで、エブリワンで活動してきて私が一番印象に残ったことです。つらい事や大変な事、私にもたくさんあります。何事もすぐにあきらめず物事を前向きに考えていく事、少しでも見習っていきたいと思います。

 

 

No.37
木村太郎(21)
2000.6.3 掲載
『エブリワンは私の地域交流』

 3年前、私は市原市内にある大学(福祉情報学科)で学ぶため、他県から単身引っ越して来ました。初めの1週間は、とにかくひとり暮らしに慣れることで精一杯だったのを今でもはっきり覚えています。ひとり暮らしに慣れると、次は友人が欲しくなりました。もちろん大学ではすぐに何人かの友人が出来ましたが、せっかく市原市に4年間住むことになったのですから地域の方々とも親しくなりたいと思ったのです。
 高校時代、東京でもエブリワンと同じようなグループに参加していたこともあり、当時から将来は福祉を目指そうと考えていました。さっそく市原でも社会福祉協議会のボランティアに登録し、活動に参加しました。学校とは別の場で福祉を学びたいという気持ちもあったからです。そしてボランティア活動のなかでウィズエブリワンのメンバーの小倉君と出会ったのがきっかけで、エブリワンに参加するようになりました。
 エブリワンのメンバーには、年令や職種を越えて実に様々な人たちがいました。同じ大学の先輩たちも、何らかの障碍を持つ人たちもいます。普段の生活ではなかなか出会うことのない人たちです。何と楽しく素晴らしいことでしょう。なぜなら、様々な考え方を持つ人たちと気兼ねなく会話を交わすことができるからです。
 私たちはいつも何かの肩書きや立場に縛られているように思います。社会という組織や場面においては仕方がないことかもしれません。ですが、中には好ましくない肩書きや立場もあります。私は昨年1カ月ほど入院しました。その時の私は患者という立場でしたが、その言葉に拘束感を感じ、不愉快な思いをしたこともありました。
 エブリワンでは肩書きや立場に縛られることはありません。まずひとりの人間として、お互い向き合えて、そして話が出来る。障碍者という肩書きや立場もありません。私は健常者と障碍者を区別すること自体に疑問を感じています。でも、あまりにも当たり前のことでありながら、なかなか出来ないことだとも思います。このような体験が出来て、私は市原に来てエブリワンに参加して良かったと、感激しています。
 まだこのような経験をしたことのない人、私のようにひとり暮らしをしている学生のみなさん、エブリワンの入会をオススメします。(何か保険のセールスみたいですが・・・)学生にとって地域の人たちと交流するチャンスはそう多くはありません。より多くの方のエブリワンへの参加を願っています。

定例会で

 

No.36
穴井美緒さん(21)
穴井春歌さん(21)
2000.5.6 掲載
『分かっているようで 分からないこと』

春歌さん(左)と美緒さん(右)

 私たちは双子の姉妹です。小さい頃からいつも一緒ですが、性格はほとんど似ていません。姉の美緒は読書が好きなおとなしい性格。妹の私、春歌はどちらかというと外交的な性格です。しかし、ひとりで心細い時は姉を誘うこともあります。
 中学生の頃から福祉に興味のあった私は、昨年社会福祉協議会のボランティアに登録しました。そしてサークル"まごころ"の作品展示のお手伝いをしたことが、ウィズエブリワン会長の倉田さんと知り合うきっかけとなりました。以前からシティライフを見てエブリワンに入会したいと思っていましたが、チャンスがありませんでした。当時、エブリワンでは障碍者のためのマップづくりをしていました。活動が路上調査だったこともあり、大学で建築を学んでいる姉も"おもしろそう"と一緒に参加しました。
 わが家の近所には筋ジストロフィーの車椅子のお兄さんがいて、小さい頃からよく遊んでもらっていましたから、私たちに障碍者に対する抵抗はありませんでした。でもエブリワンは、これまで私が参加したボランティアとは違っていました。エブリワンではボランティアという言葉を使うことさえ、恥ずかしく感じたのです。私のなかで、これまでボランティアとは"障碍者の人たちをお世話をしてあげる"という意識だったからです。エブリワンのみなさんは、障碍があっても私たちと何等変わりはありませんでした。それどころか、私たちが持っていない何かもう一つのものを持っていたのです。それは自分自身で超えなければいけない何か大きなもの。気持ちでは、障碍を持っていない私たちよりずっと大きいと気づかされたのです。
 現在、私は大学で保育を学んでいます。将来は福祉施設で働きたいと考えています。
 実習では多くの障碍を持った方と接して来ましたが、直接聞いてみたいことがあっても立ち入ったことは失礼かなと、なかなか聞けません。でも倉田さんなら聞けるし、答えてくれます。姉もバリアフリーの考えが、勉強に役立っているようです。最近エレベーターのボタンが壁にフラットになっているのが多いけれど、手足の不自由な人にとっては出ている方が使い易いなど、生の声を聞いて勉強になると話します。
 分かっているつもりでも実際に体験しないと分からないことは多いものです。私たちは一日の出来事をお互いによく話します。共有した時間でも違った体験があります。
 両親もエブリワンの活動には興味を持って応援してくれます。相手が障碍者というだけで意識過剰になるのは障碍について実際に知らないからだと思います。大人の差別意識を持った接し方を、もし子どもたちが見たら同じように感じてしまうでしょう。
 これからも障碍者という感覚ではなく、ひとり一人と接していく気持ちを大切にしていきたいと思います。