1997.11.11 読売新聞
電車やバス、「不便です」
市原の障害者、健常者交流サークル 車イスで実情調査

 市原市で障害者と健常者との交流活動を行っているサークル「市原ウィズエブリワン」(倉田知典会長)が9日、同市内の電車やバスが障害者にとって使いやすいかどうか、実際に乗り込んで調査を行った。
 今回の調査のきっかけは、「バスや電車が使いにくいので町を自由に出歩けない」という障害者達の声。「それでは実際に公共交通機関を利用してみよう」と調査の話がまとまった。
 調査には車イスの7人を含む25人が参加。市原市のJR五井駅などに集合して、班に分かれて電車やバスを利用した。
 その結果、「電車に車イス用の手すりがない」「駅の出口に無意味な段差があって車椅子が自由に動けない」「階段の1段の高さがまちまちで足が不自由な人には歩きにくい」―など、様々な問題点が明らかになった。
 参加した市原市の大学生小倉浩さん(19)は「電車やバスは、障害者にとってはまだまだ不便。乗り物や駅の設計に障害者を参加させるなどして使いやすい公共交通機関を作って欲しい」と話していた。


1997.6.11 千葉日報 
段差解消や点字ブロック ハンディキャップ実行委
車イス体験で要望書 市原姉崎地区の改善点まとめ

 「障害者やお年寄りらの目線で人に優しい街づくり」と取り組んでいる市原市の「ハンディキャップ体験実行委員会」(委員長・倉田知典市原ウィズエブリワン代表)が10日、姉崎地区の改善要望書を市に提出した。
 JR姉ヶ崎駅、同駅周辺、道路、歩道、姉崎公民館、建設中の姉崎地区福祉センタ―周辺など、実際に車イスなどで歩いた体験をもとに現状の問題点をまとめた。

 提出のあと実行委のメンバーと懇談した小出善三郎市長は「姉崎は私も住んでいるので、指摘を受けたところは良く分かる。まちづくりという観点からもやれるところから取り組みたい」と約束した。
 要望書の主な内容は、<姉崎駅>=1.駅舎入口やホームに呼び出し装置、階段に誘導チャイム 2.点字 ブロックは弱視者でも識別できる黄色で統一 3.エレベーターなど昇降機の設置 4.ホームと電車の段差・すき間の解消 
 <駅周辺>=1.障害者用駐車場・トイレ 2.歩道の段差、傾斜の解消 3.点字ブロックは黄色に 4.電話ボックスを車イス利用者でも使える幅に(以上東口) 5.将来のまちづくりでハンディキャップのある人たちに配慮した施設整備(西口) 
 <道路・歩道>1.イトーヨーカ堂横の地下通路のスロープが急で車椅子使用者には危険 2.U字溝やフタ、路面の修理が必要 3.平成通りに横断歩道 4.歩道が車優先になりがち
 <姉崎地区福祉センター周辺>1.平成通りにかかる境川の歩行者通路整備 2.センター前の信号機。また現状では右折できない 3.境川河川敷の整備 4.青葉台・有秋台方面からの歩行者用の橋

 ハンディキャップ体験は先月25日に行われた。ウィズエブリワンをはじめ新葉会、肢体不自由児者父母の会、地域で共に生きる会、たすけあい麦、市民ネットワークの6団体と今回は行政から保健福祉部の職員らも参加。合計44人が班別にルートを設定、実際に車イスに乗ったり、高齢者の立場になるなど弱者の目線で問題点をチェックした。


1997.5.30 千葉日報
車椅子で渡れない交差点 ばらばらな点字ブロック
姉ヶ崎駅や道路点検 ハンディキャップ持つ人の目線で

 「障害者やお年寄りなどの目線で人に優しい街づくり」を進めようとこのほど、市原市の姉崎地区でハンディキャップ体験が行われた。障害者と健常者の交流グループ「市原ウィズエブリワン」をはじめハンディを持ちながら自立しようと頑張っている人たちや家族、ボランティアグループ、さらに今回は市の担当者や子供達も参加。多くのテーマを持ちながら実際に街を歩き、現状で足りないものや改善すべき点をチェックした。

 参加者や44人。「ハンディキャップを持つ者が安心して外出できる環境こそ人に優しい街」の視点でこれまでにも八幡宿、五井駅周辺で体験を行い、エレベーターやエスカレーターの設置などに結び付けてきた。
 今回の姉崎地区も区画整理事業や保健福祉センターの建設など盛んに新しい街づくりが進められている。こうした中に体験で得た問題点を少しでも反映させていくのが目的。
 午前10時に姉崎公民館に集合。簡単な打ち合わせのあと5班に分かれ、実際に街を歩きながら点検。車イス利用者、目が不自由でつえや介添えが必要な人、お年寄り。さらに目線を変えるため車イスに乗った健常者、実際に押しながら移動する子供たちなどそれぞれが目的を持って現状の町を体験した。
 中心の姉ヶ崎駅は1989年に高架化となり、現在の施設が出来上がった。駅関係者の案内で東西を結ぶ自由通路から改札口、さらに階段を下りホームへ。
 同駅はエレベーターやエスカレータはもちろんスロープもなく、車イスで利用するには介助が必要。呼び出しブザーがないことなどチェック点も多かったがホーム端の車止めがしっかりしていることや自動券売機に親切な料金表が付けられているなど他にない優しい面も。
 ただ駅広場から駅構内に続く点字ブロックが歩道のデザインと合わせたのか色がばらばらで見づらかったり、障害者の車を止めるスペースもないなど改善点は次々と出てきた。
 このほかバス道路などをチェックしたグループからは「どうしても車優先になりがち。歩道の青信号が短くて歩いて渡るのも大変。車イスでは怖くてとても無理」「建設中の福祉センターに歩いていこうと思うとものすごく遠回りになる。利用者のことを考え、安全な場所に歩道や橋が必要」などの意見が出された。


1996.5.11 千葉日報
障害者に優しい施設を 市原のハンディ体験実行委
市長と懇談、改善項目提示 企画から意見聞いて

 

 障害者や高齢者が、健常者と一緒に安心して活動できる「人に優しい街づくり」を実現していこうと、先月、市原市のJR八幡宿駅周辺で「ハンディキャップ体験」を行った障害者とボランティアら実行委員会のメンバーが10日市役所を訪れ、小出善三郎市長と懇談した。
 体験で実際に感じた多くの問題点について改善を要望。特にこれからは公共施設の建設などで、「ぜひ企画段階から障害者を参画させて欲しい」と強く求めた。

実行委員会は障害者とボランティアの交流グループ「市原ウィズエブリワン」(倉田知典会長)をはじめ多くのボランティア団体で組織。実際に車椅子に乗って道路を横断したり、駅構内の施設点検を行った。
 行政側に示された具体的な改善項目は「ホームや駅構外への障害者用トイレ」「道路や歩道の舗装」「踏み切りに車道と歩道の区別」「公衆電話を車イスでも利用できるように」「ホームでの駅員連絡装置」「電車とホームの段差解消」「エスカレーターだけでなくエレベーターの併設」など多項目にわたっている。
 ハンディキャップ体験をした八幡宿駅は昨年12月に完成したばかりで、車イスでも乗れるエスカレーターを設置するなど福祉面の配慮が比較的行き届いているが、実際に障害者が利用するとなると不備な面が数多くある。
 この日の懇談でも参加者は「頭で考えただけではとても分からないことがいっぱいある。実際に車イスに乗り、障害者と同じ視点で体験してみないと何が必要なのか、どんな点が不足しているのか実感できない」と口をそろえる。
 いったん出来てしまった施設を改善するのは難しいだけに「最初から障害者や高齢者の意見を施設造りに反映させることが出来れば、かなり今までと違った街づくりができるのでは」と強調。行政側も今後の課題として検討していくことを約束した。

 


1996.4.19 千葉日報
最新の駅でも不備 周辺道路には段差 ボランティアらが点検「障害者の目線」で設計を

 

 人にやさしい街づくりを進めていこうと、障害者やボランティア、父母の会らが参加して実際に公共の建物や道路、商店街、駅などを歩きながら点検する「ハンディキャップ体験」がこのほど市原市のJR八幡宿駅周辺で行われた。同駅は昨年12月にオープンしたばかりで、車椅子でも乗れるエスカレーターなどが設置されているが、実際の利用となると不備な面も目立ち、「障害者の目線」で見た街づくりがいかに遅れているかを改めて印象づけた。

 参加したのは実行委員会の中心となった障害者とボランティアの交流グループ「市原ウィズエブリワン」をはじめ新葉会、地域で共に生きる会、たすけあいネットワーク、「麦」、市原市民ネットワーク、肢体不自由児者父母の会など約60人。八幡公民館に集合後、4班に分かれ、駅周辺を点検した。
 公民館から駅までわずか1キロ足らずだが、車椅子に乗ってみると歩道にはやたら段差が多く、障害者にとっては信号を渡るのも大変な難作業。ちょっとした窪みなどに車輪が挟まると人手を借りなければ抜け出せないところも多い。
 駅の入口に設けられたエスカレーター。さすがに自慢の施設だけに車イスを乗せるスペースも比較的ゆったり。呼び出し用のボタンを押すと駅員が降りてきて自動運転されている装置をいったん止め、車椅子を乗せてくれる仕組みで、障害者だけでも利用できる。しかし駅構内からホームに降りるエスカレーターはかなり急角度。車イスで乗ると「前に落ちそうで怖い」。ホームと電車の段差や溝も予想以上に大きく、実際に乗るには介添者が必要。ホーム上には駅員を呼ぶボタンもなく、緊急時など「1人ではどうにもならない」などかなり危険が潜んでいることも確認された。
 このほかにも「券売機の下に奥行きがないため切符を買いにくい」「ホームの傾斜で車椅子が自然に動き出してしまう」など多くのチェック項目が出された。
 参加者の市原ウィズエブリワン会長・倉田知典さんらは「3年前にチェックし、改善を要望したものもあったが、なかなか進んでいない。新しい施設も障害者の目線で設計してくれれば・・。これからも多くの団体と一緒に住みやすい街づくりを目指していきたい」と感想。実行委員会では再度、参加者全体で報告会を開くことにしている。

 


1995.9.28 千葉日報
車イスの入場大丈夫?「細部に改善の余地も」サンプラザ市原を総点検

 障害者の自立と住みよい街づくりを目指して幅広い活動を進めている障害者と健常者の交流グループ「市原ウィズエブリワン」(倉田知典会長)が24日,JR五井駅西口の市内一のノッポビル「サンプラザ市原」の施設点検を行った。

 独自で作製している「福祉マップ」に反映させるのが目的で、各階の出入口のスペースやスロープ、トイレ、駐車場、点字ブロックなど「障害者が安心して楽しめる施設か」細かくチェックした。
 同ビルは地下2階、地上12階。映画館をはじめフィットネス、プールなどのスポーツ施設、子供向けのゲームコーナー、ハイビジョンギャラリー、コミュニティールーム、会議室、レストランなどが同居している。
総工費100億円以上をかけて7月にオープン。2階部分コンコースで五井駅と結ばれており、オープン時は1ヶ月で30万人が訪れるなど、順調な滑り出しを見せた。市にとってはまさに‘鳴り物入り‘でスタートした施設だけにサービスを徹底し、1人でも多くの市民に利用してもらいたいところ。
 点検活動にはウィズエブリワンのメンバーで、実際に車イスに乗った障害者や父母、ボランティアなど30人が参加。5班に分かれ、各フロアごとに調査した。施設側も全面協力、休憩時間を利用して映画館やハイビジョンギャラリーを案内、使われていない会議室なども公開し疑問点があれば説明にも応じた。
 もともと新しいビルのため障害者への配慮もかなりきめ細かく行われているが、実際に使う立場から見ると、改善して欲しい点も多いという。特にプールに入るにはスロープがなかったり、1階から2階の駅側の入口となるエレベーターは時間制限があったり、曜日によっては休止してしまうことも。
 「障害者にとってはサンプラザばかりでなく、駅の利用にも欠かせないエレベーター。もう少し運用面を考えてくれると」。問題点をチェックして施設側に協力を求めていきたい、と話している。


1995.8.6 朝日新聞千葉版
キャンプを楽しむ

 障害者の自立と住みよい街づくりを目指して活動する市民グループ「ウィズエブリワン」が5日、袖ケ浦市の森のまきばオートキャンプ場でサマーキャンプを開いた。6日までの日程で、会員らの親睦を深める。
会は、障害者と健常者の垣根を取り払い、共に活動しようと、先天性脳性小児まひで重い障害がある倉田知典会長(24)が呼びかけて1991年に発足させた。現在の会員は111人で、うち3割が障害者。キャンプには30人が参加。リーダーを務めた袖ケ浦市の専門学校生神田剛さん(20)は、「帰省などで参加者は少ないが、楽しくやればいい」。テント張りなどに汗を流した。


1995.5.27 朝日新聞千葉版
3年がかりで調べた 福祉マップ完成
市原の市民グループ「ウィズエブリワン」障害者に住みよい町づくり目指して

障害者の住みよい町づくりを目指して活動している市原市の市民グループ「ウィズエブリワン」(倉田知典会長、70人)が、同市の公共施設を対象に障害者にとって利用しやすいかを調べた福祉マップを完成させた。障害を持つ人と持たない人が一緒に町中を歩いて建物を1つ1つ調べ、3年近くかかって完成にこぎつけた。マップは千部印刷され、内7百部を同市在住の障害者に無料で配布する。残りは公共施設に置かれる予定だという。

 「エブリワンマップ」と名づけられたマップは121ページ。市内を8地区に分け、各地区内の公共施設の状況をまとめたデータを付けている。例えば、小湊鉄道海土有木駅の場合、アプローチに5cmの段差があり、改札口は車椅子が通れず別の入口を通らねばならない、トイレは狭くて介助は難しい、駐車場はある、といったデータが添えられている。
 グループに参加する若い学生や社会人らが、月に1度、市原市の施設や駅、銀行、スーパーなど約70ヶ所の施設で、トイレやエレベーター、入口などが障害者に使いやすく作られているかチェックした。
 重い障害を持ちながら活動するリーダーの倉田さんによると、車イスの利用者は、外に階段や道路の段差、傾斜があると考えただけで外出する気力がなくなってしまう。マップづくりには、積極的に町に出るきっかけにしようという意味もあったという。
 調査途中で収穫もあった。市内のJR姉ヶ崎駅など3駅の整備を改善して欲しいと市原市長に求めたところ、同駅前にあった車止めのポールが撤去されたという。点字ブロックのすぐ横に設置され、歩行の際にじゃまになっていた。
 調査に参加した女子学生(19)は、「車イスの人たちの立場がだんだん分かってきて、とても大切なことをしているような気がしました」と振り返る。
 倉田さんは「まだまだ障害者の声が施設の計画に反映されているとは限らない。今後は商店街や病院に対象を広げたい」と話す。
 県社会福祉協議会によると、県内で福祉マップが作られた市町村は少なく、あっても地区社協がリードしたものがほとんどだという。県社協の担当者は「マップ作りは、町中の施設が暮らしやすい環境になっているがどうか、気がつくことに意味があるのでは」と話している。

 同内容記載 7.5 市原社協だより 6.20広報いちはら 6.2市原よみうり 
 5.28いちはら朝日 5.15京葉新聞 5.10読売新聞千葉版 5.4千葉日報
10.28中日スポーツ

 

 

 


1995.5.4 千葉日報
「市原ウィズエブリワン」が福祉マップ作製
障害者ら自身で調査 公共施設など市内76ヶ所「ぜひ健常者にも」

 市原市の障害者グループ「市原ウィズエブリワン」(倉田知典会長)が手作りの福祉マップを完成させた。 市内の公共施設やデパート、駅など76ヶ所を自分達で調査、B5判、121ページの冊子にまとめたもので、「ぜひ、健常者にも見てもらい、人にやさしいまちづくりを」の願いが込められている。

 「ウィズエブリワン」は4年前の1991年6月に発足した。未熟児として生まれ、養護学校高等部を卒業後、地域の障害者やボランティアの活動に参加する中で、障害者の意見や発言の場が少ないことに疑問を感じていた倉田さんが仲間に「自分達の自立と住み良いまちづくり」を呼びかけたのかきっかけだった。
 最初は12人でスタート、健常者の友達を作っていくなかでグループの輪は広がり、現在10〜20代の若者を中心に100人が参加する大きな集まりに成長した。障害者は全体の約3割で後はボランティアなどの健常者。福祉マップもこうしたグループ全体の協力で出来上がった。
 マップの対象となった施設は各地域の支所を含む市役所をはじめ公民館、図書館、競技場、武道館、郵便局、観光施設、駅、デパート、銀行など広い市原市内を1年以上かけて調べた。
 障害者が外へ出て、施設を利用するために欠かせないアプローチの段差やスロープ、点字ブロック。出入口は車椅子では入れるか、専用の駐車場は、エレベーターはあるか、トイレは障害者でも大丈夫か。公共施設はもちろん民間の施設も調査に快く同意、協力してくれたという。
 こうして1件1件積み上げたデータを施設ごとにまとめ編集作業。不自由な体でワープロを打ち、地域ごとの地図を描き、表紙も「海づり施設」をモチーフにコンピューターを駆使して明るいカラーのイラストで飾った。発行部数は1千部。エブリワンの働きかけが実り、市が20万円を助成、印刷会社も採算を度外視して引き受けてくれた。
 前書きの中で倉田さんは「この冊子が、ひとりでも多くのハンディキャップを持つ人が外に出て行くささやかな足掛かりになるとともに、みんなが人にやさしいまちづくりについて考える手掛かりになれば」と訴える。
 行政などの主導で造られた福祉マップは県内でも例がある。しかし今回の”エブリワンマップ”は、障害者や周囲のボランティアが自分たちの活動のメーンテーマの1つとして位置付け、取り組んできた。
 「まだ商店街や病院など欠けているものも多い。今後もマップ作りとともに友達の輪を広げていきたい」と張り切っている。

1995.5.10 読売新聞千葉版、5.15 京葉新聞にも掲載

 

2005.03.06