12月末。再び訪れるこの季節に―――。

しかしながら、大寒波の到来により目的地の再検討が求められた。

予定していた長崎は微妙だ。
名神だけならまだしも、山陽道前線までもが通行止に
なっているのを見てしまうと流石に無理がある。
後日の行事出席に支障をきたす以前に
現地で何も出来ない状況では全くもって無駄に終わってしまう。
今回は大事にいきたい。失敗だけは許されない。

残り一週間にしてプランを練り直す。

無難な線でゆくと・・・紀伊半島か。
たまにはマターリも良いだろう。
それでも長崎は魅力的だが。


2年の屈辱を胸に、ロングな魂と迷える想いを引っ下げて闇の向こう側へ羽ばたいた。
“カステラチャンポントルコライス”と呪文の様に唱えながら!?



大晦日、午前零時。自宅を発つ。
何故か気象状況も落ち着いた静かな夜は、嵐の前の静けさなのか?
今回、都合がついたのと天候を考慮して元旦発ではないが。

零時一分、林道「畑・白浜線」に至る。

最早お馴染、己にとっては生活道であり殆ど私道の様なものだ。
坂を駆け上がり見下ろす“我が街スラハマ”に別れを告げ夜の山へ吸い込まれていった。

この林道は全線舗装につき何の変哲もない。凍結も見たことはない。
ただ、林道を抜けた後の集落付近より現在大工事中の為
至る所に鉄板があり注意が必要だが。

「畑」を抜けR127バイパスへ。
そして富浦ICより富津館山道路へ乗る。

コンディション良好。先日散々吹き荒れた季節風も収まり走行に問題はない。
装備は万全につき快適だ。山中を直走る。

終点富津中央ICよりR127へ至る。


R127を北上。
君津のセルフGSにて給油をした後、木更津南ICより館山道へ。
ここから先は延々高速道路だ。
ぶっちゃけ、幾度となく通っている道なので今更レポートする事が無い?

アクアラインとの分技に差し掛かる。
が、何故か素通りしてしまった。
ひたすら北上、とにかく北上、間違いなく北上だ。

いや、走りながら考えた。
いつもと違うルートはどうだろうと・・・?

館山道から京葉道、そして首都高へ。

渋滞はしておらず、比較的流れている。
暮れであってもこの時間帯、“ヤル気な音”を奏でながら消えてゆく四輪多数。
全てを見送りながら目指すは中央道。


3時、八王子IC。
気温−1℃。

念の為、一応車両を確認。問題無し。

いよいよ中央道、ここからが本番か。

スロットルを開け続け、ただただ無心のまま走った。
暗闇から暗闇へ・・・。

徐々に山間部へ入ってゆくに従い、当り前だが気温低下。
ジェットヘルのシールドに巻き込まれて入ってくる風が
鋭利な刃物の様に目を突刺す。


3時39分、談合坂SA着。

トイレを済まし一服した後、給油をして再び走り出す。

幾つも潜るトンネルは、ハラワタの様に生暖かい。
今のところ路面に問題はなさそうだ。

長いハラワタを抜け、下り坂となる。
そして迎える甲府の夜景。光る葡萄の丘が眩しい。

“あの日”以来、夜が好きで好きで好きで堪らない。
待っているのは夜明だと・・・。

道路状況チェックの為、一旦双葉SAへ立ち寄る。
異常は見受けられない。

出発前、自宅にて確認したところチェーン規制等無かったので
これはチャンスだと確信があった。

再び走る。


中央道最標高地点も問題なく通過。
諏訪が近づくにつれ、夜が明けてきた。

気温−5℃オーバーをマーク。
最早そこに表示される値はマイナスのみ。

辺りの風景が白い。路肩に雪や氷がある。
スキー場へと向かう車両だろうか、交通量も増えてきた。

と、橋の上が所々凍っている?様に見える。
マズイ、この交通量&ペースで“ヤラカス”のは極めてマズイ状況だ。
しかし、後続車は容赦なく迫り追越してゆく。
緊張感と集中力を維持し走る。いや、走るしかないだろう。

岡谷JCT通過。
そこから交通量は減少する。
キワドイピークは去った様に思えた。イケる、このままイケる。
雪に覆われた山腹を嘗める様に走り抜けた。


山間部を抜け、視界が開けてくる。
雲一つない青い空に、南アルプスから太陽が顔を出している。
そして雪が彩るその風景。
これだ、これを見たかった。狙い通りのロケーションがある。


          最高。

                   そして


     絶・好・調!



その文字はここに存在する。
大型車が巻き上げる凍結防止剤の噴煙はご愛嬌か。

そろそろ給油が近づいてきた。
が、一つ問題に気付く。
SAへの進入路はどうなのだろう?と。

良くあるパターンで除雪が行届いてない場合、下り坂なら惰性で行ってしまえるが
キツイ登り坂だと進入出来ない可能性が脳裏を過った。
スーパー圧雪凍結路面だと尚更だ。
雪をなめてはいけない事は充分知っている。
とにかく次のSAで給油しない訳にはいかないので、祈り続けた。

案内標識を見送り、程なくしてSAが見えてきた。
どうやら進入路は問題無く、勾配も無い様だ。
“普通の意味”でSAへと滑り込んだ。







7時38分、駒ヶ岳SA着。

グローブを外し、己の置かれている状況を思い知る。
快適装備は良いが、グローブとヘルメットを脱ぐまで
状況を把握出来ないのがたまに傷か。

とりあえずトイレを済ます。
入り口に自動ドア付は初めて見た。
一服つけ様とするが、ジッポーライターは乾燥してしまったのか
中々火が点かず参った。

給油を済まし再び出発。


これより先の路面は問題無いだろう。
飯田、中津川、そして多治見と好調に道を刻んだ。

小牧JCTより東名を名古屋方面へ。


9時50分、守山PA着。

とりあえず、食事。
何にするか迷ったが「きしめん」を食べた。

流石にココならバイク乗りの姿もちらほら。
次の給油地点を確認し、再び走る。


名古屋より東名阪道へ。

市内を抜けるまで薄暗いトンネルの中を走る。
何故こんなに暗いのだろうと毎回思うが。

トンネルを抜けると見晴らしが良い。遠くの山々に雪が見える。
比較的流れている道を淡々と走った。


11時19分、御在所SA着。

再び給油だ。
特に用もないのでGSの脇で一服する。
ここで問題発生。リアBOXの蓋が壊れる。(壊した?)

しばし考え込んだが10分後にはとりあえず決着する。
DIYの欠点は、何の前触れもなく突然壊れる事なのではとこの時思った。
とりあえず後日の仕事が増えた気がした。






SAを出る。
実はその後は淡い記憶しかない。とにかく走り続けた。

有料区間も終了し、名阪国道へ。
いつも思うが、この道路は制限速度を誰一人守っていない
とツッコミを入れたいところだ。


奈良県に入り山間部を抜け下りになる。
交通量はあるがちょっとしたワインディングといった感じだ。
天理市街が良く見える。
そういえばこの方向から走るのは初めてだった。

名阪国道から西名阪道へ。


特に渋滞もしていないので苦も無く走る。

松原JCTより阪和道へ。
ここから先は未知の領域。


余談だが、地名なんて実際自分が出向いて覚えるのが一番な気がする。
否応にも記憶してしまうに違いない。


14時2分、岸和田SA着。

いよいよ和歌山県か。
一服し、トイレと給油で出発。


和歌山ICで高速を降りる。
15時頃、和歌山市へ到着。
流石に今回は近いなと思った。

明日からの事を考え、早めに駅前のビジネスホテルへチェックイン。
コンビニにコインランドリー、
そしてカラオケBOXまでもが施設内にあり都合が良い。
料金から見ても満足出来るホテルだ。

自宅へ連絡。
「ちょっと行ってくる。」そう言い残して発ったのは
相違無い事実であり若干の負目が…?


バイクを置いて食事に出る。
和歌山ラーメンってどんなのだろうと気になりながら駅前を徘徊する。
しかしながら年の瀬、時刻は18時を回った頃で
駅前の飲食店は殆どが閉店状態だ。

結局ラーメン屋は見当たらず、適当なカレー屋で済ます。

その後、少しだけ夜遊びへ。
いやだからちょっとだけ、ほんの70分。
え、感想?ん〜、まぁまぁかな。そんなものだろうっと!?

気が済んだのでホテルへ戻り明日からの期待と不安を旨に就寝。


本日の走行距離、787.2km。